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21世紀のシンガーソングライター アルバムベスト100のトップ10位まで聴いて感想言います

ミュージックマガジンに「21世紀のシンガーソングライター アルバムベスト100」が掲載されました。この記事では、ベスト100の中からトップ10位までのアルバムをわたしが聴き、感想を述べるという記事です。。。まぁ暇なときにでも読んでっちょ。

トップ10位までのアルバムは、個人的にはあまり聴いたことない上、知らないアーティストが多かったです。

ランキングの10位までが以下のようになっています。

  1. James Blake 「James Blake」
  2. Sufjan Stevens 「Illinois」
  3. Beck「Sea Change」
  4. Sufjan Stevens「Carrie & Lowell」
  5. Norah Jones「Come Away With Me」
  6. Rufus Wainwright「Want Two」
  7. Frank Ocean「Channel Orange」
  8. Leonard Cohen「You Want It Darker」
  9. Bon Iver「Bon Iver」
  10. Antony And The Johnsons「I Am A Bird Now」

初めて聴いたときに衝撃を受けたジェームズ・ブレイクのアルバムが1位というのは嬉しい。しかしちょっと意外だった気もしますね。

そもそもエド・シーランやファレル・ウィリアムスなどの爆発的に大衆ウケしたアルバムが入っていないことに違和感があります。。。売れた音楽より新しくアート性の高い音楽がランクインしているイメージですね。

(ちなみにエド・シーランの「÷」は26位にランクインしてます。)

1位:James Blake 「James Blake」

アルバム「James Blake」を聴いたのは、確か高校生のときだったと思います。とにかくいろんな音楽を聴きたかったわたしにとって、「James Blake」の音楽には衝撃を受けました。

それは紛れもなく、今まで聴いたことのない音楽だったからです。数の少ない電子音が静寂に包み込み不安と浮遊を感じます。またオートチューンで加工した声が楽器のように響くのは面白いですよね。

この声こそが「James Blake」を初めて聴いたときに刺さった部分です。正直1位には衝撃を受けましたが、文句のない順位です。。。大好きです!



2位:Sufjan Stevens 「Illinois」

今回のランキングを見て初めて聴いたアルバムです。またアーティスト名も全く知らない人でした。しかし聴いてみてその魅力に一気に取り込まれていくのです。

聴いてみるとアメリカのフォークやジャズ、伝統音楽などの影を感じられるアルバムです。アメリカなんて行ったこともないのにどこか懐かしく、映画音楽にも使われるような感じがします。

また曲ごとに音の仕掛けがとても多いのです。遊び心があるアルバムで、子どもがおもちゃ箱を開けるときのようなウキウキ感に通じるものがあります。まぁ楽しいアルバムってことです。



3位:Beck「Sea Change」

Beckといえばアコギを片手にラップをするミュージシャンというイメージでしょう。90年代にデビューし、ロックやフォーク、ヒップホップなどをクロスオーヴァーさせ音楽に広がりを与えた人でもあります。

そんなBeckの「Sea Change」は、それまでのBeckとは違うアプローチをしたアルバムになります。ヒップホップやファンクなどのノリはなく、滑らかに静かに流れていきます。今までのBeckを知っている人からすると、「Sea Change」はひっくり返るほどの驚きだったでしょう。

「Odelay」ばかり聴いていたわたしとしては、「ん〜Beckらしくない。。。」というのが本音です。そして3位という順位も意外でした。



4位:Sufjan Stevens「Carrie & Lowell」

【輸入盤】CARRIE & LOWELL [ Sufjan Stevens (スフィアン・スティーヴンス) ]
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2位にもランクインしているSufjan Stevens が4位にもランクインです。「Carrie & Lowell」では、「Illinois」のときと全く違うアルバムになっています。子どもも喜ぶような楽しいアルバム「Illinois」とは、もはや正反対を行くような雰囲気です。

まずドラムやベースなどのリズムの要となっている楽器がアルバム通して登場しません。そこに静寂やSufjan Stevens の感情がうまく乗っかり独自の音楽性を築いています。

亡き母親のために作ったアルバムということで、音を聴くだけで感傷的な気持ちになります。英語はわからなくても亡き母親のアルバムと聴くだけで、どこか語りげに囁くSufjan Stevens が印象的に聴こえてきます。



5位:Norah Jones「Come Away With Me」

わたしがジャズを聴き始めたころには、女性ジャズボーカリストとして不動の地位を築いていたNorah Jones。わたしはそのスモーキーな声に心を奪われました。

またジャズを基盤としていますが、フォークやロックなどの幅広い音楽を取り込み独自の音楽性を確立しています。ジャズボーカリストではくくれないところが、評価ポイントになったようです。

個人的に5位というランキングはとても嬉しいです。そしてもっと上でも良いと思っています。ジャズを聴きたいけど抵抗ある人にはオススメのアルバムですよ。



6位:Rufus Wainwright「Want Two」

わたしはクラシックやオペラは全く聴きません。いつ聴いてもどこか退屈で尖った音がないイメージあるんですよね。。。Rufus Wainwright はオペラ好きで作曲もしています。そのため「Want Two」でも、クラシックやオペラをベースとしたアルバムになっているのが特徴です。

そしてクラシックが苦手なわたしでも聴きやすいアルバムとなっていました。それはRufus Wainwright がロックやポップの要素を盛り込んでいるからでしょう。高貴で近寄りがたいクラシックが、ポップで親しみやすい音楽になっているのです。

Rufus Wainwright のアルバムは12位にもランクインしていて、実力の高さが伺えますね。わたしも今後聴いていきたいソングライターのひとりです。



7位:Frank Ocean「Channel Orange」

10個のアルバムの中でもっとも都会っぽい音で最近の音楽という感じがしますね。Frank Ocean はさまざまなアーティストとのコラボや楽曲提供が目立っていたため、Frank Ocean名義でのアルバムを聴くのはこれが初めてでした。

アルバムの1曲目、そして2曲目の「Thinkin Bout You」で「Channel Orange」の世界に引き込まれます。おしゃれな都会風な音だけでなく、効果音を巧みに使った実験的なサウンドが目立つことも個人的には面白いです。

ここまで聴いてきて感じたことは、今のシンガーソングライターのようにアコギで歌う人ではなくなっているようですね。



8位:Leonard Cohen「You Want It Darker」

「Leonard Cohen、、、どこかで聞いた名前だなぁ」このくらいの知識しかないわたしにとって、名曲「Hallelujah」を生んだ男だということに驚かされました。つまり今回の「You Want It Darker」がわたしの初めて聴いたLeonard Cohenアルバムになる訳です。

「You Want It Darker」は真っ暗な中を、不安げにただただ歩いていくようなアルバムです。しかしどこか自分の心の闇をさらけ出し語っているような不思議な感覚に襲われるアルバムでもあります。暗い音楽だが陰鬱でもネガティブでもない、不安で先の見えない人生を明るく捉えようと頑張る人間本来の影の部分を歌っているようなアルバムです。(わたしは英語が全くわかりません。)

Leonard Cohenは「You Want It Darker」のアルバムをリリースしてすぐに亡くなりました。遺作として「闇」をテーマに歌ったこともどこか不思議な感覚になりますね。



9位:Bon Iver「Bon Iver」

わたしが21世紀の名アルバム100のソングライター編を選ぶなら、「Bon Iver」は3位以内に間違いなく入れています。まぁわたしがBon Iverを好きなだけです。。。と言っても9位にランクインしているのは非常に嬉しいですね。

「Bon Iver」は、アルバム冒頭の最初の音を聴いただけで、Bon Iverの世界に引き込まれます。そしてアルバムのその先を知りたくなるのです。ピンク・フロイドの「狂気」やビートルズの「Please Please Me」に似たような、先を知りたくなるアルバムと言えるでしょう。

セカンドアルバムにして自らの名前をつけたアルバムには、Bon Iverの新たな挑戦がかいま見えます。そして他のアルバムも良いのでぜひ聴いてみてくださいな!



10位:Antony And The Johnsons「I Am A Bird Now」

Amazonより引用

「まさかこの人がランクインしているとは!」と本気で思っていました。現在はANOHNIと改名し活動しているシンガーソングライターで、わたしはANOHNIの「Hopelessness」をよく聴いていました。最初「Hopelessness」を聴いたとき、衝撃を受けたことを覚えています。

Antony And The Johnsons の「I Am A Bird Now」は、「Hopelessness」より美しさで勝っているアルバムです。美しいボーカルとピアノがアルバムの中核を成しています。一枚の絵画を夢中で見続けてしまったときのようなぼーっとした感覚がたまりません。

音楽にアート性を求めてしまう人なら一度聴く価値アリなアルバムです。



まとめ

振り返ってみると、わたしが今まで持っていたシンガーソングライターのイメージが大きく変わったランキングでした。アコギ1本で歌うイメージはもう古いんですかね。想像以上に新たな電子音楽などを用いたアーティストが多かったように思います。

またランキングの多くがアルバム毎のコンセプトがはっきりしていて、最初の1曲目からアルバムの世界に引き込むようなものばかりでしたね。Sufjan Stevensなど知らないアーティストを知れたことは非常に嬉しいです。



しかしランクインしたのほとんどアルバムがアート寄りだったことが、ちょっと腑に落ちない部分でもあります。ただただ音楽が好きなわたしとしては、ノリの良いアルバムがランクインしてもよかったのでは?と思ってしまいましたね。

21世紀のシンガーソングライター アルバムベスト100が読めるのはMUSIC MAGAZINEです。気になる方は早めにチェック!