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チェット・ベイカー自伝映画「ブルーに生まれついて」:ジャズ界に潜んだドラッグが垣間見れる作品

ジャズボーカリストで好きな人を挙げろと言われたら、間違いなく真っ先に「チェット・ベイカー(Chet Baker)」の名前が最初に出します。

私がチェット・ベイカーに出会ったのは、高校3年の時に母親が買ってきたジャズのオムニバスアルバムを聴いた時でした。収録曲はチェット・ベイカーを代表する楽曲「My Funny Valentine」です。

女性なのか男性なのかわからないような中性的な声、余計な音が一切見つからないスマートな音楽に魅了されましたね。

今回はそんなチェット・ベイカーの半生を描いた映画「ブルーに生まれついて」を紹介します。ネタバレはしません。だって見てほしいから!

ちなみにチェット・ベイカーはボーカリストでなくトランペッターです。ただ声がめっちゃ良い。。。

絶大な人気を誇った50年代

チェット・ベイカーの人気が絶頂に達したのは50年代中期、チェット・ベイカーの名盤として語り継がれているアルバムはだいたいこの年代のものです。

その中でも「Chet Baker Sings」は彼の最も有名な代表作、トランぺッターの彼が歌をメインにリリースしたアルバムです。私もこのアルバムはめっちゃ聴きまくりましたね。収録曲の「Like Someone in Love」は私の一押しの楽曲です。

この頃はジャズの帝王と言われているマイルス・デイヴィスよりも人気投票では上位で、1位を獲得していたといいます。マイルスは白人で人気を獲得していたチェットのことをあまり好んでいたようではなかったのですが、チェットの技術や人間性には好感を持っていたともいいます。

チェットの腕はジャズ界でも一流で、マイルズだけでなく、モダンジャズの祖と言われるチャーリー・パーカーのバンドにも所属していたほどの腕前です。

そんな人気絶頂だったチェットを腐らせていったもの、それがドラッグでした。

ドラッグに溺れジャズを失う

当時の音楽界はドラッグを使用するのが当たり前のような風潮がありました。それはロック界にも同じことが言えます。60年代のローリングストーンズや70年代のセックス・ピストルズの年代でもドラッグは横行していました。

50年代のジャズ界にも同じような風潮があったのでしょう。マイルスはもちろんのこと、チャーリー・パーカーも薬物の使用で捕まったりしていますからね。

チェットも人気絶頂だった50年代半ばごろからドラッグを使用したといいます。そして59年にチェットというアルバムをリリースした後、彼はドラッグに完全に溺れてしまうのです。

アメリカでは逮捕され、イタリアでは投獄もされました。その投獄中に舞い込んできた話が、チェット自身の自伝映画の撮影でした。イタリアからアメリカに戻り映画の撮影に励んでいましたが、ドラッグが完全に抜けきることはなかったのです。

そんなとある日の夜にチェットはギャングらに襲われてしまいます。そこでトランぺッターとしての命でもある前歯を砕かれるのでした。

チェット・ベイカーの復活劇が見所!

前歯を砕かれ、トランペットが完全に吹けなくなってしまったチェット。そんな時に助けになってくれたのは、映画で共演したジェーンでした。彼女に恋心を抱きながら、復活を誓うチェットの復活劇が、「ブルーに生まれついて」の見所です。

一度はジャズ界の頂点にたった男です。全くトランペットが吹けない中、ドラッグとも戦いながら復活を目指す姿に、チェット好きには心打たれるかもしれませんね。